家族4人揃っての初登山が叶った日

私の登山デビューと、子どもたちの登山デビューを無事に終えましたが、夫の登山デビューはそれから約1年後となりました。

夫の入院

私たちの初登山がそれぞれ上手くいったのをきっかけに夫の心に火がついて、登る気満々だったのですが、直後にコロナ禍による外出自粛期間に突入してしまいました。
その自粛期間がやっと明けたと思ったら、夫が突然の怪我とそれに伴う手術・入院で、登山どころではない日々が始まってしまったのでした。

夫の入院していた数か月間のことは、産後と同じくらい記憶が曖昧になっています。
確かに毎日大変だったはずなのですが、日々何とか子どもたちと生き延びることで精一杯で、細かいことをあまり思い出せません。

一番辛かったのは、コロナ禍での入院だったため面会が叶わず、一度も会えなかったことでした。
特に子どもたちは寂しがっていましたが、それでも娘には息子が、息子には娘が居ることが一番の励ましであるように感じました。
私も目の前に子どもたちが居てくれることで気持ちを保つことができ、夫の不在をなるべく感じないように、これまでの生活となるべく変わらないように毎日をこなしたいと思っていた気がします。

夫は夫で、誰にも会えず気晴らしの外出もできない入院は相当に孤独だったはずで、ストレスを発散する方法もなく、辛い数か月だったことと思います。
筋肉という筋肉が落ちてしまって、瘦せこけた体で退院してきた夫を見ると、それは一目瞭然でした。

そんな夫が入院中によく観ていたのが、登山の動画だったようです。
登山というと勝手なイメージで、ザ・山男を想像していたのですが、その動画に登場するハイカーはごく普通の青年。ザックを降ろしたら、これから電車に乗って買い物にでも出かける大学生のような爽やかな雰囲気で、すらっとしていて、さらっとしていて、ゴツゴツしていない。アツすぎない。

彼がカメラに映す、偉大な自然の映像は美しく、山の魅力をじんわりと伝えてきます。
時に息を切らしながらレポートしている様子も臨場感があり、押しつけがましい様子がないので観ていて疲れません。
これを、身動きの取れないベッドの上で毎日観ていたら、そりゃ山に登りたくなるよね…。

しかし退院後も、以前のようには自由に足を使えない生活が続きました。
更に夫の怪我は足首だったので、登山はちょっと厳しい。
登りたいけど登れない日々が続き、やがて秋がきて、冬が過ぎ、春が終わろうとした頃、遂に初登山の日がやってきました。

いよいよ4人揃っての登山

よく晴れた5月の朝。
市内の山を目指して車で出発しました。

その山は市内ではちょっとした夜景スポットになっていて、海や町を見下ろせる展望台があります。
これまでも何度かドライブに来たことはありますが、まさか自分が子どもを連れて登山をしにやってくるとは思ってもみませんでした。

今回はこの山ではなく、隣の山に登る計画です。
駐車場からはしばらく舗装された道路が続きましたが、しばらくすると緩やかな登山道が始まりました。山頂に近づくにつれて勾配がきつくなり、ハイキング気分から一転、登山らしい気分を味わうことができました。

夫の足首が心配だし、子どもたちも家族だけだと甘えが出るかもしれないし、私の体力も持つかわからないし…と、ベテランハイカーのいない登山は多少の不安がありましたが、案ずるより産むが易し! 夫も子どもたちも、とても楽しそう。

前回の登山で自信をつけた子どもたちは、どんどん歩いて進んでいきます。
背中のリュックには、凍らせたアクエリアス、ラムネ、キャラメル。
それらが入っているだけでテンションが高い高い!

夏は、このタイプのアクエリアスやポカリスエットが大活躍!

疲れたら岩に腰かけてアクエリアスを飲み、なだらかな道では走って競争し、珍しい木や葉っぱを見つけては観察している子どもたちを見ながら、ゆっくりとしたペースで登りました。
木が多く茂った登山道は、汗をかいた体に涼しく、その空間に居るだけで癒されます。

この山は、病み上がりの夫の足に優しく、子どもたちにも快適なルートで、私も余裕を持って登ることができました。家族だけだと少し気が緩んだらしい息子は、山頂目前で疲れた顔を見せ、歩みが遅くなりましたが、リュックを持ってあげるとみるみる元気を取り戻し、最後は笑顔で登頂しました。

リュックを降ろすと駆け出した子どもたち。

登頂記念にカメラを向けると、両手の指先を頭の上で合わせて腕で三角形を作り、体育会系女子たち直伝の「山ポーズ」をきめていました。

山頂でのお昼ご飯には、やはりカップ麺を持って行きました。夫に、この美味しさを知ってほしくて。
日陰にシートを敷いてシングルバーナーでお湯を沸かし、おにぎりと一緒に食べました。
子どもたちは、夫のザックの中の保冷バッグから取り出されたマーブルチョコに歓喜して、大事そうに食べていました。
体を動かした後のご飯やおやつは、本当に驚くほど美味しいです。
それを味わえるのも登山の醍醐味。

お腹が満たされて気力も体力もリセットされた子どもたちは、軽い足取りで下り始めました。
特に息子の元気がよく、登りの最後で見せた疲れ顔が嘘のように溌溂としていました。恐るべし、マーブルチョコの威力。

森を抜けると、駐車場まではまたアスファルトの道を歩きます。
日光を遮るものがない場所はとても暑く感じました。海を見ながら坂を下り、おしゃべりしながら歩いていると、あっという間にもう車の前。
こうして、家族揃っての初登山を無事に終えました。

帰りの車中は、もちろんふたりとも爆睡。
後部座席で並んで眠るふたりを見ていると、何とも言えない幸せな気持ちが溢れてきました。
嫌がらずに一緒に登山をしてくれてありがとう。おかげで素敵な思い出ができました。

標高の高い山ではなかったし、夫にとっては動画で見たような迫力のある登山とは違いましたが、足首を痛めることなく、みんなが自分の足で往復できて、何より家族揃って登山ができたことは私にとって本当に嬉しいことでした。

市街地に戻るともう夏が来たかのように暑くて、皆で冷たいものを食べて帰りました。
そして、次はどの山に登ろうかと早速調べている夫でした。

かき氷にソフトクリームまでのせて大満足。