先週、遂に「ルドルフシリーズ」の最終巻『ルドルフとのらねこブッチー』を読み終えました。
これで、既刊の5冊を全て読破したことになりました。
昨年の11月頃から約4カ月にわたって、毎晩一章ずつ読み続けたこのシリーズ。子どもたちも、そしてもちろん私も思いっきり楽しめた本でした。
最初の『ルドルフとイッパイアッテナ』が出版されたのは、1987年。
続編の『ルドルフともだちひとりだち』は翌1988年。
第3作目の『ルドルフといくねこくるねこ』は2002年。
第4作目の『ルドルフとスノーホワイト』は2012年。
そして、第5作目の『ルドルフとのらねこブッチー』が出版されたのは、なんと2020年6月。
ついこの間なのですね。
第1作目から30年以上の時を経て続編が出版されるなんて!
となると、『ルドルフとイッパイアッテナ』を少年少女時代に読んだ方が、大人になって子どもと一緒に『ルドルフとのらねこブッチー』を読んでいる…という可能性もあります。
感慨深いですね。
第1作目が1986年だったので、第5作目も出版されてから時間が経っているものだと思い込んでいましたが、読み終わって何気なく見た奥付に「2020年」の文字を見つけて、思わず二度見してしまいました。
2020年6月といえば、コロナ禍真っただ中。
緊急事態宣言が解除されて保育園が開いたものの油断できない毎日で、更に我が家では夫が入院してしまい…という頃です。
そんな時期にこの本は出版されていたのですね。
当時は知る由もなく。
お気に入りポイント4つ
私がこの本を気に入った理由は、いくつかありますが、まず1つ目は、声に出して読み聞かせをするのに、ストレスを感じない文章であることです。
この物語の地の文は、ルドルフの語りです。
ルドルフの言葉遣いが丁寧でわかりやすく、正統派の日本語を使っているため、読みながら頭が整理されていく感覚があり、子どもたちも話の流れをよく理解できていました。
時々難しい言葉も登場しますが、そんな時は作中でルドルフが意味を説明してくれたり、ルドルフの拾った「ポケット版ことわざ辞典」を引用してくれたりと工夫されています。
読んでいる途中で「〇〇ってどういう意味?」と息子が聞くと、次の文章がルドルフの『〇〇っていうのは…』で始まることも多くありました。かゆいところに手が届く感じ。
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2つ目は、ルドルフの性格です。
なかなかに思慮深い。
これは私の個人的な好みの問題でしょうが、ルドルフは周りをよく見ていて、無駄なことは言わないし、感情に任せて動かない。
何と言うか、ひと言でいうと「粋」!
例えば、2匹で会話をしている時。
相手が話しにくそうなことを遂にぽつりぽつりと語り始めたとして、聞いているルドルフは前から気になっていたことなので聞きたいことは山のようにある。
でもそこで根掘り葉掘りがっつかないのがルドルフ。
相手が言葉を切ったタイミングにも、その先を促すこともせず、こちらから意見を言うこともしない。
何て言ったらいいかわからない時には、シンプルに黙る。余計なことは言わない。
…すると相手は、その先に本当に言いたいことを語ったりする。
そういった、人(…いや猫?)との距離感が絶妙で、「あぁ! 自分もこうありたいものだなぁ!」と思わずにはいられない、聞き上手で粋な猫なのです。
この会話のセンス。距離感の妙。見習いたい。
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それから、3つ目は、喧嘩をした犬や猫たちと、最後には和解するところ。
「最後に仲良くなればそれでOK! めでたしめでたし!」と考えているわけではありませんが、この物語の中では、大事な仲間を守るために売られた喧嘩を買ってしまって…という場面が何度か出てきます。
知恵を絞ったルドルフたちは勝利し、負けた犬や猫は逃げていきます。
しかし「やっつけたからそれでOK!」ともならず、時間が経ってから徐々に親しくなったり、助けたり助けられたり、そこからまた新しい世界が広がったり。
「失敗してしまったからもう終わり」「間違ったから次はない」「喧嘩したから絶交」ではなくて、そこからまた新しく始まっていくことを、ルドルフが身を以て教えてくれます。
そういうメッセージを、いやらしくなく、押しつけがましくなく、偉そうでもなく、本当に絶妙なニュアンスで伝えてくれるのがいいところ。
子どもがひとりで読んだらすぐには気付かない程度に、じわりじわりと。
読み聞かせの物語が載っている本の中には、「この物語を通して、子どもたちにこういう視点を持たせましょう」「この物語には、こういう戒めが隠されています」というようなことが大人向けに書いてあることがあります。
私は自分も自由に読みたいし、子どもたちにも純粋に物語を楽しんでほしいと考えているため、そのような解説はあまり読みたくありません。
「子どもたちにこうなってほしいからこの本を読む」と思って読むと楽しい気持ちが半減するので、読んだ人が自由に何かを感じる、その余白が残された読書が好きです。
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4つ目は、1章の長さが、毎日の読み聞かせにちょうどいいボリュームであることです。
毎日継続するためには、結構重要なポイントです。
我が家は、毎晩1章ずつ読み進めました。これが寝る前のひとときにちょうどいい!
これより短いとちょっと物足りないけれど、これ以上長くなると眠くなってしまう…という絶妙な1章の長さは、計算してあるのでしょうか。
このボリュームだったからこそ、毎晩の読み聞かせが続いたように思います。
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…と、そんな風に楽しんできた「ルドルフシリーズ」の夜も、一旦おしまい。
ちょっと寂しい気分の今は、「母の友」特選童話集 『こどもに聞かせる一日一話』という本を1話ずつ読みながら、次の長編を探しているところです。



