キャンプを始めたのは、娘が5歳、息子が2歳の誕生日を迎えた夏の終わりでした。
その半年ほど前に、異動先の職場で、キャンプをしている上司と先輩に出会った夫は、そのおふたりとの会話を通じて、少しずつキャンプに関する話題に触れるようになりました。
しかし当時は他人事で、夫もまさか自分がキャンプをしたいと思うようになるとは、想像もしていなかったはずです。
実際に、私たちは筋金入りの面倒くさがりで、性格は対照的ながらもこの「面倒くさがり」という共通点によって深く理解しあっている夫婦といっても過言ではありません。
どちらかが洗濯物を畳もうものなら、自分以外の洗濯物は丁寧に畳みつつも、自分の洗濯物は丸めてロッカーにポイッ!
食事も、お互いに自分だけのためには作る気すら起きません。ひとりでいただく食事は1分で済みます。
何なら食べなくてもいいくらい。自分のための労力はもったいない!
そのくらい面倒くさがり。
キャンプを始める前は、その後何度も訪れることになる、キャンプ場を併設した大型自然公園で遊びながら、「うわー…この公園、テントを張ってキャンプしている人たちがいる。こんな面倒くさそうなことを楽しめる人たちがいるんだね…」と会話していたものです。
上司の「子どもが喜ぶよ」で一発K.O.
ある日、いつものようにキャンプ話を聞きながら昼食を食べていた夫は、上司の「キャンプに連れて行くと子どもが喜ぶよ」の一言にノックアウトされてしまいました。
それまではありえないと思っていた夫も、子どもが喜ぶとなると話は別。
この頃から、夕食時の夫の話題が次第にキャンプ寄りになっていきました。
それはちょうど、息子が自由に歩けるようになり、お出かけが少し身軽に、楽しくなってきた頃。
コロナ渦前だったので、外出好きな夫は週末が近づくと「今週はどこに行こう」「何をして遊ぼう」「少し遠いけど新しい公園に行ってみよう」「どこかでイベントがないかな」と計画を練るのですが、週末毎に目新しい行き先を探すことに少し疲れているようでもありました。
そんな時、ボディブローのように「キャンプに連れて行くと子どもが喜ぶよ」という上司の言葉が夫の心を揺さぶります。
以前は友人たちとゴルフに行くのが趣味でしたが、子どもが生まれてからはキャディバッグもほこりをかぶって放置気味…。
ゴルフには家族を置いてひとりで出かけていく後ろめたさがあるけれど、キャンプなら家族全員で出かけられる。
キャンプ…いいかも…
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それから夫は、キャンプに関するあらゆる情報を収集し始めました。
全ては子どもたちに喜んでもらうため。
そして、いくつになっても、新しい世界を知るということは、自分の喜び。
夫の情報収集力、検索力、実行力、開拓力、未知の世界に飛び込む勇気、大事な人を喜ばせたい思い、そういう前向きなものが総動員されて、キャンプとの距離がどんどん近づいていきました。
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数日後、近所のお店で買い物をしていると、女性用トイレにポスターが貼ってありました。
それはなんと、そのお店が初めて開催する「テント展示会」の告知でした。
このタイミングでテント展示会かぁ…
誰か私たちの会話を聞いていたのかなと怖い気持ちも抱きつつ、「これは何かが動き出したかも」と思い、夫に知らせました。
夫も、このめぐり合わせに運命を感じて、その展示会に出向き、この時に思い切ってテントを購入したのが始まりです。
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では、その時、私の気持ちはどうだったのでしょう。
次回は、「インドアな私が、いかにしてキャンプを受け入れたか」についてお話しします。