【冬のおすすめ】あったか絵本 『みんなでぬくぬく』『てぶくろ』

寒いねと言いながらシュラフで抱き合って眠る夜には…

寒い季節に布団やシュラフに入ると、思い出す絵本があります。
エルザ・ドヴェルノア作『みんなでぬくぬく』です。

◆『みんなでぬくぬく』
  作:エルザ・ドヴェルノア
  絵:ミシェル・ゲー
  訳:末松 氷海子
  童話館出版(1997年

ある寒い冬の夜に、ストーブが壊れてしまったはりねずみのトゲトゲ。
ちょうどその時、隣に住むりすのクルミワリが訪ねてきました。クルミワリの家のストーブが故障したので、ひと晩泊めてほしいというのです。
困った2匹は少しでも寒さをしのごうと、お互いの体を寄せ合うのですが、りすには、チクチクとしたはりねずみの体の針が痛くて眠れません。
そこでふたりはアンゴラうさぎのフワフワさんのもとを訪れることに…

というお話です。
絵のタッチが柔らかくて、ふわふわ、ぬくぬくとした様子が伝わってきます。
ぬいぐるみのような動物たちの会話もかわいらしくて、読み終えるとほんわかした気持ちに。
思わず子どもを抱きしめたくなります。

***

キャンプの夜、娘は夫と、息子は私とペアになってシュラフに入って寝るのですが、寒い夜には、息子を湯たんぽ代わりに抱きしめて眠ります。(最近、本物の湯たんぽがやってきましたよ!

子どもの身体とは、何てぬくくて柔らかいのでしょう。
それに引きかえ、私の身体の何と冷たいこと。
つま先までカチコチに冷えきっています。

嫌がらず抱かれたまま眠ってくれるのも今だけでしょう。
貴重な期間だと感謝して「『みんなでぬくぬく』みたいだね」と話しながら眠ります。

これぞ物語。長い冬を豊かな想像力で楽しみたい。

続いてはウクライナの民話『てぶくろ』

◆『てぶくろ』
  作:ウクライナ民話
  絵:エウゲーニー・M・ラチョフ
  訳:内田 莉莎子
  福音館書店(1965年

おじいさんが森で落とした、片方の手袋を舞台に繰り広げられる、森の動物たちの物語。

手袋を最初に見つけたのは、ねずみ。
ねずみは、この手袋で暮らすことに決めます。
すると、次々に動物たちがやってきて…

有名な絵本ですが、恥ずかしながらタイトルも知らずに大人になりました。
子どもに読み聞かせをするようになってこの本に出合い、初めて読んだ後、「あぁ! 物語って、これだなぁ!」と深く感動しました。

絵本の多くは創作です。
普通ならありえないようなことが起こるし、喋るはずのない動物が会話をするし、大きさや距離の概念も私たちの常識は通用しません。でも違和感なくその世界に連れて行ってくれるのが絵本の魅力です。
読む側も、創作だとわかっていて、目の焦点をぼやかすような気持ちで絵本の世界に遊びに行きます。

この『てぶくろ』は、その楽しさがギュッと詰まった一冊です。
単純な展開のようでいて、ウィットに富んだ動物たちの会話。
たまりません。

我が家では、狭い場所に一緒に入れてほしい時に、この本に出てくる動物たちの台詞を真似します。
「ちょっと むりじゃないですか」「いや、どうしても はいってみせる」「ほんの はじっこにしてくださいよ」…などなど。

そして、この絵本の表紙。
完成されています。このまま部屋に飾りたいくらいです。

テーマの手袋の周りを、ホフロマを思わせる植物の模様が丸く囲みます。
表紙のベースは美しい山吹色で、北国らしいイメージです。物語を読んでいる最中も、この山吹色がまるで縁のように囲んで、てぶくろの世界観を保ちます。

更に、細かい部分になりますが、物語の最初の一文字(この絵本では「お」)のドロップキャップなんて、おしゃれでしびれます。英字新聞などでよく見る、段落の最初の一文字を大きくデザインする手法です。
端々に異国の空気を感じます。

そして極めつけは、物語の世界に浸りきった頭の中をぐっと現実に引き戻す、ラスト1ページ。
これもテクニックなのですね。
本当に「物語って…!」と、もう一度最初から読みたくなる締めくくり方。映画のようです。

物語の素晴らしさだけでなく、総合的なビジュアルも素敵なこの絵本は私のお気に入りの一冊です。
おしゃれな気分になれる冬のあったか絵本、いかがですか。